Waltz(全集)
ディヌ・リパッティ EMI<50> SS
リパッティはワルツを確か正規で3回録音していたはずだが、50年のものはスタジオ録音とブザンソンのライブの2種類ありもちろん両方素晴らしい。ブザンソ\ンの方はもはや記念碑的な録音になっているので少し評価も甘くなりそうなものだが、内容的にも全く文句なし!ライブならではの即興的な部分もあり、聴衆がワルツ全曲を退屈せずに聴ける工夫が様々になされていてかなり楽しめる。しかしレコードで聴く彼のまろやかな音はなんと味わい深いのだろう、これがCDでは残念ながら少し硬い音に聞こえてしまう。ワルツの順番も彼の意図したもので毎回違う順番でその時に応じて弾いていたようだ、ただのライブラリー的全曲演奏会をやる現代の馬鹿なピアニストに爪のアカでも煎じて飲ませたくなるものだ。ちなみに、ライブではなぜか2番が抜けているがこれは何らかの事情があったようである。あと8番の最後で大胆に間違えているのも貴重、比べてスタジオ録音の方はライブに比べてだいぶ引き締まっているが随分端正に聞こえる。彼のルバートはフランソワのような明らかにコルトーを意識したルバートとは少し違ってそれもまた美しい。
サンソン・フランソ\ワ(14番まで)<59> S+
フランソワの旧盤の方だがこれがかなり味がある。昔のピアニストに共通する生きたリズムが常に演奏に存在するし、全く既成のものではない特徴がたくさんある。たまに見せるバスの強調も嫌味がなく、ルバートももちろん巧い。つまり個性は結構\強いのだが、ワルツとしての気品もありそれぞれのワルツの気分がこんなにストレートに表現されている演奏はなかなか無い。さらにテクニックも洗練されているという素晴らしい録音だ。
ゲザ・アンダ(13番まで) BMG<75> S☆
なんだこの華やかさのないワルツは…!?独特のしっとり歌うような雰囲気が漂って、それがある意味過激なものに見えてしまうのが何とも不思議だ。ショパン弾きの演奏にはもう飽きた、かといって個性的なフランソワなどは癖が嫌いだしカツァリスもちょっと…という人は是非聴いてほしい。とりわけ、4番や11番で見せる軽快さを伴った左手のリズムはまさに一級品で、時折見せる表情の微妙な変化やスパイス的な音の変化も非常にセンスを感じる。
ヴラディミール・アシュケナージ(全集) London<77〜83> S
ショパン全集の中のひとつ。全体にあまり癖の無い演奏で、さらに年代的にだいぶおとなしくなっているのでどの曲も端正に弾いているが、これをただの模範的な演奏と片付けてしまうのはあまりに表面的だ。3番の美しさや、小犬や8番での余裕を感じさせるほどの緩急のつけ具合、9番での細かい連符のルバートや12番での少し洒落た弾き方など、実はかなりセンスたっぷりなのである。彼がショパン全集のシリーズでなしに単にワルツ集として全力で取り組んでくれれば良かったのにと思ってしまう。
シプリアン・カツァリス(全集)TELDEC<81,84> S
ご存じカツァリスの内声強調が話題になったワルツ集。こんなところも掘れば温泉は沸くのさ、と言うぐらい感心するほど見知らぬフレーズがたくさん出てきて特に7,9番あたりは必聴だ。しかし演奏自体は全く派手なものではなく、端正であくまでショパンらしさを感じさせるものである。意外に15番以降のワルツも良い(内声も含めて)。
ジャン・マルク・ルイサダ(1〜16,18番) DG<90> A+
スーパーピアノレッスンにも出てたルイサダ先生だが、教え方自体はカツァリスなどよりずっと良かったように思う。ルイサダ自身過去の巨匠の事などもかなり語っており、フリードマンを敬愛しているらしい。さて、肝心の演奏の方は要所でたまに聴かせてくるが全体にはオーソドックスなもの。しかし前半のワルツより後半の方が出来がよく、特に9,10,11番あたりは素晴らしい。通常の版とは少し音が異なる部分もあるが、変化に富みルバートのかけ方やフレーズ感がとても美しくさすがだ。
Piano de Virtuoso



