〜ピアニストの「質」の変化〜

     現在優秀なピアニストは非常にたくさんおり、まだまだ凄いピアニストは登場してくるだろう。しかし、今日レコードで愛聴されているピアニストの大半は亡くなってしまったピアニストである。例えばホロヴィッツやリヒテル、ミケランジェリにルービンシュタインなど20世紀のピアノ界を支えてきた巨匠たちだ。彼らが弾いてきた曲を、今のピアニストはさらに進化した技術を持って質の高い演奏を我々に聴かせてくれる。これはとても幸いなことなのだが、聴いていて何か物足りなく感じる時があるのもまた事実だ。名前を伏せてもすぐに分かるような個性に欠け、オーラを感じない演奏が多い。

 昔のピアニストのような強烈な個性と音色を持った人は本当に少なくなった。懐古主義に浸ろうなどというわけではなく、現役でもポゴレリチやアムラン、プレトニョフなどはもちろん強い自己主張を持った個性的なピアニストである。けれども、彼らの感覚はずいぶん現代的であり、今現在最も質の高いものではあるが、今までのヴィルトゥオーゾとは少し質が違うように思えるのだ。しかし、その「質」自体がそもそもずっと変化してきている以上、これからのピアニズムもどんどん変化していくのだろう。今後どのような変化が現れるかについては、誰にも分からない。作曲の世界でいう調性の限界→崩壊のごとく、大胆な変化もあるかもしれない。それほどピアニストの「質」は進化しており、また私には限界を向かえているようにも思える。



 

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