ヨーゼフ・ホフマン(1876-1957)

  第二のアントン・ルビンシュテイン!!

  ホフマンと言えば有名な詩人のE.T.A.ホフマンや、そのホフマン物語を題材にしたオッフェンバックのオペラの中の「ホフマンの舟歌」が思い浮かぶ、あるいは同名のオーストリアの建築家などもいるが、ここで紹介するホフマンは、あのラフマニノフと肩を並べたというとんでもないピアニストの方である。有名なアントン・ルビンシュテインの唯一の弟子で、著書の「ピアノ演奏Q&A」には師の事がとても詳しく書いてあって興味深い。ラフマニノフと比べた時によく言われるのは、ホフマンはラフマニノフと違って楽譜に忠実ということである。確かに彼の若い録音を聴くとうなずけるが、ルビンシュテインが「私の歳になったら自由に弾いても良い」と釘をさしていたのが原因で、事実1930年代以降の録音はまるで別人であり忠実という言葉はもはや木端微塵だ。つまり分かりやすく言うと、リヒテルがホロヴィッツに変身したようなものであり、年を取ってからハジけるこのようなタイプのピアニストは非常に珍しい。私は彼のライブ録音を聴いて思わず絶叫しそうになった、こんなにとてつもない録音がこの世に存在したとは…!?マーストンが出した「ホフマン全集」のCDは、まさに人類の遺産であるといっても過言ではない。ちなみに彼は非常に小さな手をしており(人並外れて丈夫な手であったが)、とても苦労したという。スタインウェイ社はそんなホフマンのために、鍵盤の狭い特性ピアノ(1オクターヴごとに8インチ狭いもの)を造り、心持ち楽になったという。しかし、ホフマンの奏法自体ピアニストにとって理想的なものであったことも見逃せない。彼が作曲した代表的な作品には「万華鏡」などがあり、今日ではアムランなどが取りあげている。

 一方ホフマンには力学の才能もあり、ピアノや自動車の装置を発明して、たくさんの特許を取得している。自動車用・飛行機用の空気式衝撃吸収体の発明は、20世紀初頭においてホフマンに幸運をもたらし、その後も医療器具、原油を精製するための炉、ピアノ・ロールの動力を完全に修正する装置(ロール会社が破産した為、実用化されず)、太陽と共に回転する住宅などを発明した。最晩年には、ピアノの録音方式の改善にも取り組んでいたらしい。

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