ヴラディミール・ド・パハマン(1848-1933)
一世一代のエンターテイナー!
ピアニストというものはたいてい個性的なので変わり者もたくさんいるが、私はパハマンほど変わったピアニストを誰一人として知らない。近年、歴史的な録音が世に出回るようになってから彼の名もそこそこ知られるようになった。しかし彼の奇行は有名なものの、録音の真価はなかなか伝えられていないように思う。「黒鍵」のエチュードをしゃべりながら弾くのは有名で面白いが、肝心の演奏もこれまた面白い。ちなみに彼がしゃべっているのはほとんど同時代のピアニストたちの愚痴などである。パハマンはショパンがまだ生きていた頃に生まれており、19世紀後半彼がどのような演奏をしていたかとても興味深く、恐らく詩的で繊細きわまりない演奏をしていたのではないかと思われる(ただしショーンバーグはかなり酷評しているが…)。 そのスタイルは基本的に終生変わらなかったが、有名な奇行の数々は年を取ったパハマンの愛嬌であり(当たり前だが)ただのお笑いピアニストではない。しかし、別項で取り上げているホフマンの演奏会で割り込んだ話やイスを上げ下げした話など、ちょっと今の時代では考えられなくて本気で笑ってしまう。さらに彼は引退後牧場を経営しており、なんと牛乳パックを発明して特許を取ったのだ。ここまで徹底して笑わせてくれると逆に尊敬してしまいそうだ。
Piano de Virtuoso





